失礼、また前回から間が空いてしまった。
聖夜をいかがお過ごしでしょう。
今宵はそんなホーリーナイトにまったくちなまない、
全然関係ない話をお届け。
『ガチ☆ボーイ』の上映のためAFI FEST 2008に
参加してきたという話を以前したと思うが、
これまた、その時の出来事。
ロサンゼルス国際空港から映画祭会場まで送って頂く道中、
ドライバーと二人で何となく世間話をしていた。
「最近どうだい?」とか、
「L.A.では今、ゲイ同士の結婚を巡ってデモ騒ぎになってるんだ」
云々かんぬん。
このドライバーはなかなか複雑なバックグラウンドの持ち主で、
見た目は青い目をした白人だが生まれは南アフリカだそうで、
その後ブラジルへ、そしてイギリスなどのヨーロッパの国々を転々とし、
今はロサンゼルスに在住。
しかも本人は日本人とのハーフだかクォーターだかで、
お爺ちゃんが日本人であるらしく、
たまに日本に遊びに行くのだと言う。
彼は各国を巡る中で8カ国ぐらいの言葉を習得したらしいが、
どうにもこうにも日本語だけは話すことが出来ず、
お爺ちゃんは日本語以外を話すことができず、
まったくコミュニケーションがとれなくて非常に困っているらしい。
そう言った話の流れで、日本語レクチャー大会になった。
レクチャーと言っても至極簡単な言葉たちだ。
ド 「Thank you はなんて言うんだ?」
小 「ありがとう」
ド 「Good bye は?」
小 「さよなら」
ド 「Yes は?」
小 「はい」
ド 「あぁ聞いといてなんだけど、さすがのオレでもそれは知ってたわ」
小 「(笑)」
ド 「じゃあ No は?」
小 「いいえ」
ド 「ふーん。じゃあ・・・」
とその時、ふと小泉は思った。
(待てよ。オレ、今までの人生の中で、
『いいえ』って言った事ほとんど無くねーか?)
何でもかんでもYESと言うお人好しという意味ではなく、
「イヤ」とか「ダメ」とか「無理」とかなら言ってきたし、
時には「いやぁーちょっとねー」とお茶を濁したり、
「それはどうですかねー」と煙に巻いたり、
緩急使い分けて「いいえ」の同義語はたくさん言ってきた。
ところが「いいえ」と口に出して言ったことは、
心理テストとウソ発見器にかけられた時ぐらいしかない。
文章で見る事はたまにあるが
セリフとして脚本に書かれることもほぼ無い。
一番ストレートにして王道な拒否表現だが、
日常的に使われる機会が極端に少ないのだ。
そう考えると、お爺ちゃんと話すために日本語を教えているのに、
「No」の訳として「いいえ」を教えるのは何か違う気がしてきた。
待て待て、とりあえずシミュレーションしてみよう。
爺 「元気か?」
ド 「いいえ」
爺 「お茶飲むか?」
ド 「いいえ」
爺 「散歩に行かないか?」
ド 「いいえ」
爺 「・・・」
お爺ちゃんひそかに傷ついちゃうよ!
お茶こぼしちゃうよ!
小 「ちょっと待って、今言いながら気が付いたけど、
よく考えたら『いいえ』って日本人ほとんど使わないや」
ド 「じゃあなんて言うんだい?」
小 「うっ・・・それは・・・」
ダメだーっ!そう言われるとなんと教えればいいのかわからない!
拒否表現界における絶対王者はやはり「いいえ」なのだ。
「イヤ」とか「ダメ」とかの荒くれ者でさえ、
「いいえ」の高貴さの前ではただひれ伏すのみである。
実用性の低さを考えると、もはや『裸の王様』同然なのに。
そんな事をこのドライバーにも説明してみたけど、
このニュアンスを伝えるのはどうにも至難の業で、
「よくわかんないや。やっぱり日本語って難しいね」と
一蹴されるに至った。
愚かしくも日本語初心者に「いいえ」のニュアンスの話を
ふってしまった自らの浅はかさを呪いつつ、
撮影現場で「監督!今のテイクOKですか!?」に対して
「いいえ」と答えたなら、やんごとない血筋の監督っぽくて
ちょっと面白いな、なんて事を想像してみたのでした。
彼は各国を巡る中で8カ国ぐらいの言葉を習得したらしいが、
どうにもこうにも日本語だけは話すことが出来ず
、という手合い海外には多いですネ、ボクも最近ベルギーで同じTaxiDriverがアラビア語、独、仏、英語出来るが日本語はコにちわだけ、ってのが。
「Good bye は?」
「さよなら」
、でなく Good bye Daysなので「さよなら」でなく「日々」と言う事でかね。
でも監督はInternationalですね。
投稿情報: 助監督 | 2008年12 月28日 (日) 12:21
監督、こんにちわっ!
「ガチ☆ボーイ」やblog。ドラマなどなど、色々楽しませて頂き、今年1年有難うございました。
って、今年最後の記事かは分かりませんけどね。
日本語は難しい。日本人ですらね。
けど、海外の方はそんなに日本語上手くなくていいと思います。多分日本人だって海外へ行ったら「片言」です。
お互い理解しようと思えば、「片言」で充分。
それに、「yes」「no」そのくらいは日本でも通じますし・・・ね。
以前、私の勤める会社に南米の方が見学に来たとき、英語でさえ厳しいのに、スペイン語だなんて・・・と。
当然通訳も同行しているのですけど、見せる機器など全ての名称をスペイン語に訳したシールを貼って迎え入れたんです。
間違った翻訳かも分からない。でも、そんな事よりもそう言った工夫をした事に対して非常に喜んでくれました。
文化は違えど同じ人間。気遣う気持ちがあれば、言葉なんて大した事はないのかも知れません。
投稿情報: ふるひ~JMW | 2008年12 月28日 (日) 12:27
まさにそのとおり!!
私もココで日本語を教えて!っていう外国人の人たちと同じ経験をよくします。
ホント私たちって『いいえ』って実は言わないんだよね…
よっぽど丁寧な会話でなければ…
まさに“Noと言えない日本人”(笑)
でも、英語でも実はよく
『I'm fine』『I'm OK』『I'll think about it』とかいわれますから、
『じゃぁ、大丈夫です』とか『私はいいです』とか『考えてみるわ』ってことでしょうねぇぇぇ…
結構日本と一緒よね?
でも、やっぱり、
片言の日本語で『いいえ』を連発されても、
“とても丁寧な日本語”とうけとめられるんじゃないかしら?
きっと、一生懸命日本語ではなしてくれるという事実が嬉しいなって感じると思うよ☆
投稿情報: てるにゃん | 2008年12 月30日 (火) 07:05
ちょっと考えてみたら「いいえ」って私は使っている気がします。
でも、「いいえ」じゃなくて「いえ」って言うことの方が多いかも??
爺「これ、食べる?」
私「いえ、いいです」
みたいな感じで。
投稿情報: olohuone | 2009年3 月27日 (金) 23:18