映画におけるリアルには、real に近い順に
次の4つの段階があると私は分析している。
1.実際の出来事をありのままに記録した映画
- 『THIS IS IT』
- 『ザ・コーブ』
- 『ディープブルー』
- 『ロストインラマンチャ』 など。
つまりドキュメンタリーだ。
これが最も real に近いと言えるだろう。
映画に徹底的な本当っぽさを求めるならば、
ドキュメンタリーをご覧になるがよろしかろう。
しかし一つ注意しなければならないのは、
限りなく real に近いが、それでもやはり real ではない点である。
いくらドキュメンタリーでも、
監督が撮りたい部分だけカメラを回し
見せたい部分だけを見せたい順番に編集しているという時点で
監督の主観が混入してしまうことになるからだ。
2.実際の出来事・人物を脚色した映画
- 『タイタニック』
- 『余命一ヶ月の花嫁』
- 『ブタがいた教室』
- 『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』
- 『フィリップ、きみを愛してる!』
- 『レナードの朝』
- 多くの時代劇、伝記もの など。
ドキュメンタリーの次に real に近いのはこのタイプ。
このタイプは映画作りにおいて非常に有効な手段である。
どこまで本当でどこまで脚色かを曖昧に出来て、
その実、ほとんどが脚色だったとしても、
観客は全部本当にあった出来事として受け取るしかない。
「この映画は事実を元に制作されました」
この文言が一言入るだけで
単なる脚色でさえも圧倒的に本当っぽく感じられ、
その「本当にあった出来事なのかも」という予感が
多くの観客を魅了する。
その分、綿密な事実関係の調査と、
描く対象本人やその親族に対する
十分な配慮が必要となるわけだが、
作る側にとってはその苦労を補って余りあるほど効率の良い、
店長のオススメ的な方法と言えるだろう。
しかし、ちょっとずるいとも言える。
3.実際にはない出来事・人物を、現実世界に
則して描いた映画。
- 『ターミネーター』
- 『E.T.』
- 『告白』
- 『パイレーツオブカリビアン』
- 『ドラえもん』 など、数知れず。
いわゆる、ザ・フィクション。
ほとんどの映画はこのタイプ。
『E.T.』、『ターミネーター』、『ドラえもん』など
意外に思われるかも知れないが、いずれの映画も
物語の舞台が現実世界なのでこのタイプに当てはめる。
私の作った3つの映画もすべてこれにあたる。
4.現実とは全く違う世界観(パラレルワールド)の映画、
または未来を舞台にした映画
- 『スターウォーズ』
- 『アバター』
- 『ブレードランナー』
- 『風の谷のナウシカ』
- 『ドラゴンボール』(恐竜とか出てくるので)
- 『アリスインワンダーランド』
- 『ロード・オブ・ザ・リング』
- 『ネバーエンディングストーリー』
- 『ハリーポッターシリーズ』
- 他SF系、多くのアニメ、ファンタジー系。
こちらもザ・フィクションだが、その中の特例。
本当っぽさという言葉は、このタイプに限っては
「最もらしさ」という言葉に変換される。
現実世界と大きくかけ離れている内容でさえも、
その中に最もらしさという秩序がなければ、
観客は受け入れてくれない。
「100年後の未来、人類は毛ガニになっている」
という前提から始まる物語はそれだけでは受け入れがたいが、
80年後の未来に人類を毛ガニの姿に変えてしまう
かつて無いほど感染力の強いウィルスが毛ガニから検出されて、
20年の間に世界中に蔓延した、という設定でもあれば最もらしい。
皆まで言うな。ちょっと苦しい例えなのはわかっちょる。
未来を舞台にしている場合の世界観は
現在の延長と考えればある程度推測できてしまうものだが、
これがパラレルワールドとなると事情が大きく異なる。
パラレルワールドとは、私たちがいる現実世界とは別次元の世界。
現実世界とは別の生物、別の文化、言語、科学、法律、宗教。
もちろん、現実世界からの引用こそあっても
ほとんどすべてを一から創造しなければならない。
このタイプを作るのが最も大変。
もちろん、中にはこれらの分類が微妙なものもある。
例えば『ダークナイト』などのバットマンシリーズは
極めて現実世界に近い世界観だが、
その舞台はゴッサム・シティという
架空の町であることが明言されている。
もちろんグーグルマップになど載っていない。
ましてやストリートビューだなんて。
従ってこれはパラレルワールド、上記の4に分類される。
『メン・イン・ブラック』などは宇宙人が実は身近にいる
という実際にはなかなか考えにくい世界観でも、
あれは現実世界にある街を舞台としているので
上記の3というわけだ。
なんとなく考え方をお分かり頂けただろうか。
世の中の映画はこの4つの内のどれかには分類できる。
(次回へ続く)
う~ん。
何気なく見ていた映画だけど確かにリアル感によって分類できますね。
4番の仮想世界の話は制作が難しいそう・・・。
何も基盤が無い所からストーリーを作り出すなんて、飛びぬけた発想とそれを広げる空想力が必要になりますよ。
投稿情報: どっこい | 2010年9 月29日 (水) 14:35
初めまして(^-^)
お仕事がんばってくださいねぇ~(o^-')b
投稿情報: tomato | 2010年9 月30日 (木) 14:25